全国でここだけ!マンナンマスターが手掛けるこんにゃく
筑後川の上流域である三隈川を中心に、古代より水と共に栄えてきた大分県日田市。
その片隅に、日田の水の美味しさを生かしながら驚くような商品を生み出しているユニークなこんにゃくメーカーがあります。
「え?こんにゃく!?」と口に出してしまうような、こんにゃくとは思えない商品を作るのは、100年近い歴史のある株式会社クマガエ。手ごねこんにゃくなど、昔ながらの製法を守った商品を作りながら、時代のニーズに合わせた斬新な商品も生み出しています。
日田の水から生まれる究極のこんにゃく作り
カルビを焼いたようにカリッッと焼ける「かるこん」、パッケージのマッチョシェフが目をひく「ゴリ漬」、マンナンジュレやコーヒープリン風こんにゃくデザートなども、実はここの商品。こんにゃくを超えたこんにゃくは、度々メディアにも紹介されてきました。
“今までにない商品”を具現化し世に送り出すため、クマガエのトライアンドエラーは計り知れません。
それでも必ず商品化できるのは、長年こんにゃくと向き合ってきたクマガエの底力があってこそ。マンナンマスターと言われた先代の熊谷彰人さんから受け継がれた志は、輝きを失わずに今も日田の地で光り続けています。
「試作品に取り組むたびに、うちの食卓はこんにゃくばかり……昨日のこんにゃくを改良したものが今日出てきて……その繰り返しに、こんにゃくはもういいよ!と嫌いになりかけたこともあります」そう笑いながら当時を振り返る熊谷社長。
現在は工場長である弟の遼二さんと、二人で商品開発に励んでいます。こんにゃくと共に過ごしてきた2人の40数年が、素材の少しの変化も見逃さない今のクマガエの礎を築いていることは確かです。
日本中でここだけ!マンナンマスターがいるこんにゃくメーカー
全国でもクマガエだけにいるマンナンマスター(独自称号)は、こんにゃくの原料であるグルコマンナン活用のスペシャリスト。豊富な知識とアイデアで、従来のこんにゃくとはイメージが大きく異なる商品を開発していきます。
先代がマンナンマスターの第一人者で、お客様に目を向けたさまざまな心得があるのだそうです。
~マンナンマスターの心得~
其の一 健康第一
其の二 食べやすさの追求
其の三 水を活かし、水に活かされ素材を大切に
其の四 楽しい気持ちでつくること
其の五 こんにゃく嫌いでも美味しく食べられる
一見、こんにゃくと関係ないのでは?と思う“楽しい気持ちでつくること”。しかし、ものづくりにおいて“楽しい”という気持ちはとても重要なのだとか。「商品に魂が宿ると言いますがそのとおりで、もっと良くしたい、美味しくしたいという気持ちがこんにゃくに入る。すると技術もずっと進歩していきます」その言葉からは、楽しそうに仕事に励んでいたという、先代の背中が垣間見えました。
「現在のマンナンマスターは?」という問いに「父がベースを築いてくれたので、おこがましくて名乗れないですね。私が商品開発、弟が商品管理を担当していますので、弟のほうがマンナンマスターに近いような気もします」と謙遜する熊谷社長。
しかしながら、二人三脚で作った商品の中には、ヒット商品も多数。先代の「医食同源」の思いを引き継ぎながらも、二人の力で更にパワーアップしたマンナンマスターの活躍に期待が膨らみます。
職人技がひとつひとつに光る80種類のこんにゃく商品
昭和2年からはじまったクマガエ。令和となった今、ほとんどが機械化されているのかと思いきや手作業が多くを占めているそうです。
「昭和よりもっと前、江戸時代の人がやっているような大きな樽の中で混ぜているのと同じような作業です。まとめて仕込んだりする時は機械も使いますが、食感などをしっかり出していくときは、今もひとつひとつ手作業で進めています。
微妙な違いを出せるのはクマガエの昔からの技術。温度や熟成の時間、練り方など、ちょっとの差で変わるのがこんにゃくです」。
少しの差で、まったく違うものになる……なんとも難しそうなこんにゃく生地を、自由自在に変えていくクマガエ。食べた時の驚きは食感だけでなく、あの独特なこんにゃく臭が少ないという点も挙げられます。
マンナンマスターが掲げる「こんにゃく嫌いの人でもおいしく食べられる」を再現した、こんにゃく臭がなく食べやすいこんにゃく。“クマガエしか作れないこんにゃく”が他と一線を画すのも納得です。
こんにゃくの先の先!?まだまだ可能性を秘めたクマガエ蒟蒻
カボスの緑色が綺麗な「かぼすたま」、柚子の爽やかな黄色が食欲をそそる「ゆずたま」のように、素材を生かし、何色にも染まるこんにゃく。
「こんにゃくって裏表ないって言いますよね。こんにゃくはあくは強いけれど、正直な素材です。だからこそ幅広い可能性がある」と熊谷社長。
多くのOEMに携わるクマガエだからこそ、開発力は折り紙付き。冷凍しても美味しいこんにゃくなど、食の課題に取り組み続けています。
クマガエが求めるこんにゃくは、素材を加えて“体に良い”をプラスするだけでなく、それがあることで困っている人の役にも立てる「それ以上」のもの。
冒頭にお伝えした「かるこん」や「こんにゃくデザート」も、きっかけは肉や甘味の代替食品として活用してほしいという思いから生まれました。
糖尿病の祖母のストレスを軽くしたいという考えから作り出したこんにゃくデザートは、時代が変わった今も多くの人に「食べられる」喜びを与えています。
先代から進めてきたこんにゃくの代替食品化。それを更に進化させ、皆が思いつかないようなこんにゃく生み出し続けます。
日田の片隅、ご近所の方が「こんにゃく頂戴」と気軽に訪れることができるような、昭和の優しい光景が広がるクマガエ。
そこから世界に響くような商品が生まれる日も近いかもしれません。